余録:「木菟の夢」とは夜働いて昼間寝る暮らしの… (2008年12月2日)
「木菟(みみずく)の夢」とは夜働いて昼間寝る暮らしのたとえという。そんな夜行性のミミズクだから昼間は目がきかず、木にとまっていると他の鳥たちがからかいにやってくる、といわれる。そこで生まれたのが「木菟(ずく)引きが木菟に引かれる」ということわざだ▲昔の猟師は昼のミミズクをおとりにして寄ってくる鳥を捕らえたという。ことわざはミミズクをつつきにやってきた鳥が、逆に捕らえられるのを指したものだ。「木乃伊(ミイラ)取りが木乃伊になる」と同じである(「故事・俗信ことわざ大辞典」小学館)
▲「木乃伊取り」は遊郭に人を連れ戻しに行った者が帰って来なくなる落語でおなじみだ。ことわざは今ではもっぱら相手を説得する役目の人が逆に説得されてしまう場合など、広く役割逆転のたとえとなっている。だが中にはいくら何でもとマユをひそめたくなる役割逆転もある
▲それでは診療報酬を不正請求して詐取した疑いで警察に逮捕された医療法人理事長の場合はどうだろうか。この理事長、20年ほど前には旧厚生省で保険医療機関の不正請求をチェックする「医療指導監査官」を務めたことのある人物だった
▲容疑は保険適用のない手術を行った患者から実費を得ながら、実体のない病名で診療報酬を受け取っていたというものだ。理事長は「不正はない」と否定している。県社会保険事務局の監査では診療報酬請求マニュアルも見つかっており、警察も容疑との関連を調べている
▲もしも保険医療の公正を守る木乃伊取りがいつの間にか木乃伊になっていたのなら、保険医療にかかわるすべての人への背信行為となろう。役割逆転の一部始終は捜査での解明を待ちたい。
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